陸、海、空アルコール問題が多いのはどの業界?

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今年の1月31日のパイロットへのアルコール検知器の使用義務化以後、国交省から、3つの大きな動きがありました。

まず、一つ目が3月19日の「管制官へのアルコール検知器使用義務づけ」、そして二つ目が7月5日の「客室乗務員、運航前整備従事者、運航管理従事者へのアルコール検知器使用」、最後に三つ目が8月2日の「海運分野の新たな飲酒対策アルコール検知器を用いた検査体制の導入」であります。

今回の一連の飲酒規制の特徴は、「飲酒運転」とはもはやクルマではなく、また、アルコール検査対象はいまや、「運輸安全に関連する企業」の社員全般に及んできている点にあります。
『運航管理者、運航管理担当者及び運航管理補助者は、酒気を帯びて運航管理に係る業務を行ってはならない』又『酒気を帯びた状態(体内にアルコールを保有する状態をいう。)の間、及び薬物の影響により正常な業務ができないおそれがある間は、整備に係る業務を行ってはならない』というように、飲酒の問題は、もはや、個人の生活習慣や家庭環境、会社が行う健康管理の一環としてとらえるようになってきています。

その後、10月には鉄道などの運転士の飲酒基準が改正され、仕事前後に酒気帯び確認することになりました。

Ⅰ 管制官へのアルコール検知器使用義務づけ(3/19)

管制業務等に従事する職員に対する飲酒対策として、 パイロットと直接やりとりを行い航空の安全を担う航空管制官等について、本年4月1日よりアルコール検知器を用いた飲酒対策を実施するというもので、国土交通省航空局では、定期航空運送事業者のパイロットの飲酒問題等を踏まえ、 航空機と直接交信を行い航空の安全を担う航空管制官等について、 ストロー式検知器によるアルコール検査を実施します。

なお、本年2月より既存の 吹掛式検知器を用いた検査を暫定的に実施しておりましたが、今般、ストロー式検 知器等の準備が整うことから、4月1日より実施します。

1 対象者

管制業務等(詳細については別紙参照)に従事する職員(航空管制官、航空 交通管理管制官、航空管制運航情報官、航空管制通信官)

2 アルコール検知器を使用した確認等

(1) アルコール検査の義務化

○管制業務等の業務開始前にアルコール検査を実施

○アルコールが検知された場合は管制業務等に従事させない

○検査時の管理職員の立ち会い

○一定の呼気量によりアルコール濃度を数値で表示可能な機器(ストロー式)の使用

○検査結果(日時、名前、数値等)の記録・保存

(2)アルコール教育の実施

(3)監査の実施

3 適用開始

平成31年4月1日より適用

Ⅱ 客室乗務員、運航前整備従事者、運航管理従事者へのアルコール検知器使用(7/5)

航空分野でのアルコールによる事故・ヒューマンエラーを防ぐということで、客室乗務員等の飲酒基準として 一連の航空会社における飲酒事案を受け、本年4月9日に有識者検討会においてとりまとめた「航空従事者の飲酒基準について」を踏まえ、航空法に基づく操縦士以外の客室乗務員、運航管 理従事者及び整備従事者についてのアルコールに関する基準が設けられました。

1 概要  

国土交通省では一連の航空会社における飲酒に係る不適切事案を踏まえ、昨年11月に有識者検 討会を設置し、まずは操縦士の飲酒基準について検討を進め、昨年12月に中間とりまとめを行い、 本年1月31日に操縦士の飲酒基準を制定しました。 それ以降、同検討会において操縦士以外の客室乗務員等の航空従事者について検討を進め4月9 日にとりまとめを行ったところ、今般、当該とりまとめを踏まえ、客室乗務員等についての飲酒 基準が公表されました。

2 主な基準の内容

(1) 対象

航空機の運航に直接関与する者のうち「瞬時に正確な判断・行動」が求められ、かつ、その 者の「単独の判断・行動」により安全運航に影響を与える者。 →対象者:客室乗務員、運航前整備を行う整備従事者及び対空通信を行う運航管理従事者

(2) 内容

①アルコール検査の義務化(運航規程・整備規程(航空法104条)、業務規程(航空法20条)の記載 項目の追加(課長通達))

・業務前にストロー式のアルコール検知器による検査を義務化 (※機上で旅客の避難誘導を行う客室乗務員は乗務後の検査も義務化)

・アルコールが検知された場合の業務を禁止

・検査時のなりすましやすり抜け等の不正防止体制(第三者立ち会い等)の義務化

・検査結果(日時、名前、数値等)の記録・保存の義務化 等

②アルコール教育の徹底等(安全管理規程(航空法第103条の2)の記載項目の追加(局長通達))

③アルコールが検知された場合や検査を不正に行った場合等について航空局への報告の義 務化(航空法第 111 条の 4 の報告対象に追加(室長通達))

Ⅲ 海運分野の新たな飲酒対策アルコール検知器を用いた検査体制の導入(8/2)

国土交通省は、「海運分野の飲酒対策に関する検討会」において検討した結果を踏まえ、今般、海運分野の新たな飲酒対策をとりまとめました。

交通輸送モードにおける飲酒に係る安全対策強化への関心が高まる中、海運分野において も飲酒に係る不適切事案が発生したことから、平成 31 年 3 月 5 日に「海運分野の飲酒対策に 関する検討会」を設置し、海運分野における飲酒に係る安全管理体制のあり方等について検討 が重ねられ、 7月26日に開催した第3回検討会における議論も踏まえ、海運分野における新たな飲 酒対策とりまとめが公表されました。

1 飲酒管理体制の強化

①アルコール検知器を用いた検査体制の導入

②業務(航海当直)開始前の飲酒禁止期間の設定

③事業者の飲酒教育の実施

2 平穏な沿岸域(平水区域)のみを航行する船舶に対する飲酒規制(酒気帯び禁止)

Ⅳ 鉄軌道運転士の飲酒に関する基準等の改正(10/4)

公共交通全体で飲酒に関する規制の強化が強く求められている中、国土交通省では、鉄軌道事業者の飲酒に関する基準のあり方について2018年度より検討が行われてきました。

今般、検討結果を踏まえ、鉄軌道事業者の運転士に対する飲酒に係る管理の徹底に万全を期すため、10月4日付けで以下のとおり関連する基準(鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準、動力車操縦者運転免許の取消等の基準)等が改正されました。

【主な改正の概要】
1 事業者に対し、運転士への酒気帯びの確認について以下の事項等を規定
・ 仕業前後に酒気帯びの有無を確認
・ 酒気帯びの有無の確認はアルコール検知器(ストロー式、マウスピース式)の使用に加え、目視等により行う
(仕業前の確認以降、事業者の管理の下にある場合は、仕業後のアルコール検知器を用いた検査を省略可)
・ 仕業前に酒気を帯びた状態が確認された場合には当該係員の乗務禁止
・ 次に掲げる事項の記録・保存
確認を行った者及び確認を受けた者の氏名、確認の日時・方法、酒気帯びの有無

2 運転士に対し、酒気を帯びた状態で列車等を操縦した場合の行政処分(運転免許の取消)適用上の目安を設定
・身体に血液0.2g/ℓ以上又は呼気0.09mg/ℓ以上のアルコール濃度を保有している場合
・上記にかかわらず、飲酒の影響により、反応速度の遅延など列車等の正常な操縦ができないおそれがある場合

【スケジュール】
改正・施行:令和元年10月4日
・1の規定は、改正後の酒気帯びの有無の確認に関するアルコール検査を実施する体制等が整備されるまでの
間、適用を猶予する経過措置を設ける
・2の規定は、令和元年10月18日より適用

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